LuckyRaccoonとは?
 ひとことで言うならば、音楽ライターである森田恭子が一人で作っている雑誌です。自分で言うのもナンですが孤軍奮闘とでも申しましょうか。決して、人手不足なわけではありません。こうしたいからこうしてる、のです。
 しかし、実際にはもちろん一人で作っているわけではありません。デザインはhanagaraさん(青屋さんとカミジョウさん)、印刷はテンプリントさん、というふうに、プロに委託している部分もあります。もちろんLuckyRaccoon(以下LR)に登場して素敵なお話を聞かせてくれる方々やそのスタッフ、才能溢れる連載陣にも支えられております。そうです、やっぱり孤軍奮闘は適切ではないような気もしてきました。たった一人でできることなど、世の中にはないのです。LRを取り扱ってくれるお店や、取次店さん、通販会社の方々、そして何より、読者の皆さまあってこそのっ、LRというわけです。

 きれいにまとまったところで、“LuckyRaccoon”の命名の由来についてご説明させていただきます。もともとは、自分で雑誌を発行するなんて考えてみたこともなかった頃、友達と一緒にチームを作って仕事をしようというアイデアが持ち上がりまして、そのときの名前が、これでした。これから仕事をどんどん受けてガンガンやっていこうという血気盛んな私たちは夢ばかりが無意味に広がって、それはまさに「とらぬタヌキの皮算用」だったわけです。この人間のあくなき欲望を表わすことわざを、英語にしたらどうなるのだろうということで、翻訳の仕事をしている友達に聞いてみましたら、「そういう英語はない」との返事。で、幸運を求めるタヌキ=“LUCKY RACCOON DOG”となりまして、そういやビートルズのホワイトアルバムに「Rocky Raccoon」という曲があるねということで(ちなみにこの翻訳家は、ビートルズの『1』の訳詞をした方でございます)、たぬきじゃなくてアライグマになっちゃうけど、ラッキーラクーンはどうでしょうと、いーんではないでしょうかと、すんなり決まったわけです。
 でもそのチームでの仕事は結局、実現しなかったので、名前だけが宙に浮いておりましたが、それから数年が経ち、なんやかやとありまして、よっしゃ自分で雑誌を作ったる〜と、これまた血気盛んなモードになりました際に思い出しまして、2つのワードの頭文字だけを大文字に、半角空けずに、LuckyRaccoon、と相成りました。はい。たまにラキラクと略される方がいらっしゃいますが(その件に関しては私は非常に消極的です)、なんか、楽々(ラクラク)な感じはおもしろいかなと思ったり。創刊当時は「楽々棚」(ラクラク・ラック)というページがあって、紙面上の棚に好きなDVDやCDをレビューとともに並べていこうとしていた、のに、いつのまにかなくなってしまいましたね、あのページ。
 すぐ思いつきだけで見切り発車してしまうので、作っては消えていく企画が多いね、LRはね。でも、そんなスタンスでやっていきたい所存です。いつか見ていた「とらぬタヌキ」の夢は、まだまだ実りそうもないですけれども。

 ではなぜLRは生まれたのか。いや、そんな私のとても個人的な事情に、あんまり興味ないですよね皆さんはきっと。ただ、なんだか悶々とライターである自分の将来を案じていたある日、折からのブームということでテレビで「スローライフ」なる特集をやっていて、それを暇にまかせて見ていたら、思いついたわけです、「ゆっくり好きなものを探そう」と。続いて「ゆっくり好きな人に会いに行こう」と。そしたら「ゆっくり好きな自分になろう」という言葉が頭をかすめ、矢継ぎ早のゆっくり攻撃に、これだ、と。ピンと来まして。だから元の「スローライフ」にはそんなに興味がないにもかかわらず、ちゃっかり便乗しまして「スローマガジン」なんて銘打ったりするのも悪くはないかもね〜ということで、「ゆっくり好きな雑誌を作ろう」という結論に達しました。だから、この3つのスローガンを思いつけたことによって、自分で雑誌が作れちゃうかも、という確信のようなものを掴むことができたのです。

 そうして2003年10月、ちっちゃなちっちゃな雑誌が誕生しました。まだお店にも置いてなくて、すべて自分で通信販売も請負うという荒技に出てました。納品の日に何千冊ものLRがうちのリビングに運ばれて、封筒にロゴのスタンプを手押しして、差出人住所を印刷して、宛名シールを貼って、封入して、封を閉じて、メール便で送る、みたいな。気の遠くなるような作業をしてました。自分で発送するっていうところも、まさにスローでしょ。
 2号からタワーレコードさんでの販売開始、5号から少しサイズが大きくなってA5変型判に、13号から通販業者さんに委託、22号で2度目のリニューアル(創刊当時のB6判にサイズダウン、デザイン仕様ともに変わりました)、創刊から21号までの巻頭インタビューを抜粋・再編集した別冊を発行。これがLRの短い歴史です。心はいつでもリニューアル、どんどん変わりながらゆっくりゆっくり前に進みたいと思っています。

 ラッキーラクーンは普通の雑誌にできないことをやっていきたい雑誌です。
 逆に言えば、普通の雑誌にできることができない雑誌でもあるわけですが。
 入手方法も限定されているし、広告がない分、価格は高くなってしまいますし、ちっちゃいですし薄いですし、足りないところだらけですけれども、それでも手に取って読んでみたくなるような、そんな雑誌が作れたらいいなと思っています。これからも末長く、長い目で、どうぞよろしくお願い致します。


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